伊澤「Testing the Waters: A Test Run Before the Big Record Attempt」

「Testing the Waters: A Test Run Before the Big Record Attempt」

伊澤将也です。

8/19にアワーレコードに再挑戦します。

今回の会場は松本市美鈴湖自転車競技場!

この記事では、挑戦の目的は何なのか、なぜこの時期なのか、なぜ美鈴湖自転車競技場を選んだのかなどを詳しく解説していきます。

まず、今回の挑戦の目的は「日本記録更新のためのテスト」です。前回、2/18に挑戦したアワーレコードの記録は49.736kmでした。現在の日本記録からは3km弱の開きがあります。この開きを埋めるための仮説検証とデータ収集というのが今回の挑戦の目的です。

記録向上のためには主に4つのアプローチ・仮説があります。

すこし4つのアプローチ・仮説のお話をします。

① 1時間の平均出力の向上させる

→アワーレコードに1時間の平均出力を向上させるには一般的なパワートレーニングだけでなく、特殊なエアロポジションへの順応や暑熱順応も大切になってきます。

一般に、空力の良い姿勢(エアロポジション)では機械的出力パワーが低下します。その低下率には個人差がありますが、トレーニングなどによってエアロポジションに順応することで低下率を減らすことができます。

後述の空気密度を決定づける要素には気温が含まれており、より気温の高い環境でパフォーマンスを発揮するために暑熱順応は重要な要素です。

これが一つ目のアプローチになります。

② CdA値の減少させる

CdA値とは空力性能を決定づける要素で、主に選手の姿勢や機材によって決まってきますCdA値は風洞試験やコンピュータシミュレーションによって測定できますが、実走で測定することも可能です。CdA値は複雑な空気の流れによって決まっているので測定と改善を繰り返すことが非常に重要です。膨大な回数のテストから乗車姿勢と機材を決定していきます。

③ より空気密度の小さな環境での実施する

これは今回のテストのキーポイントであるアプローチです。空気密度を減らすことで受ける空気抵抗が減り、記録向上が見込めます。

空気密度を決定づける要素は気圧、気温、湿度です。気圧は低いほど、気温と湿度は高いほど空気密度が小さくなります。

④ その他の走行抵抗を減少させる

タイヤや路面選びによって転がり抵抗を減らすことやチェーン等のドライブトレインの最適化によって駆動損失を減らすことなどが挙げられます。

これで四つのアプローチのお話でした。

こちらが去年挑戦した際の機材になります。

今回使用する機材に関しては後日談としてホームページに記載しますのでお楽しみに!

それでは、なぜ8月の美鈴湖自転車競技場で実施するのかと言う話を始めましょう。

松本市にある美鈴湖自転車競技場は標高1000mに位置していて、日本で最も標高が高いバンクです。この標高から生み出される低気圧環境と8月の高気温によって空気密度を大きく減らすことができます。

試算では1.03〜1.04 [km/m^3]という非常に低い空気密度になります。

また、17時半に実施することで高気温でありながらも日差しによる体温上昇の影響を小さくしようとしています。

計算上、この環境が日本で最もアワーレコードに適しているという仮説を持っています。この仮説を検証するために「実際に1時間走ってみる」というのが今回8月の美鈴湖で実施する理由です。

しかし、この環境にはいくつか問題になり得る要素があります。

一つは屋外であると言うことで、屋外で実施すると不規則な風の影響を受けることになります。美鈴湖の風の吹き方や使用機材、乗車姿勢から考えると影響は少ないと考えていますが、この影響を正確に定量化することは困難で実際に走行してみる必要があると思いました。

もう一つは高気温が問題になる可能性です。実施時の気温は28.5℃程度を想定しており、十分パフォーマンスを発揮できる気温と考えてはいますが、極度のエアロポジションは明らかに放熱性が低下します。

この影響も結局のところ実際に1時間走ってみるしかないと思いました。これらの課題を調査することで、次回のアワーレコードで日本記録を更新するための環境を決めていきます。

アワーレコードは地獄です。

何度でも走りたいと思うようなキツさではありません。ただ、私のような競技レベルの選手が日本記録を更新するには何度も走るしかないとわかってしまいました。

今回の挑戦を踏まえて、来年には日本記録更新を目指します。このワクワクを共有するために今回も配信予定です。応援よろしくお願いします。

Masaya, Leo

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